サイズ | 65.2×91.0cm |
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制作年 | 2025 |
素材 | キャンバスにアクリル |
人間は、ときに無自覚に、ときに意図的に、動物たちの居場所を奪ってしまいます。バルーンのような薄い皮膜のボディしか持たない彼ら(Fragile creatures)は、ごく危ういバランスの中で生きている、あるいはかつて生きていた存在です。本シリーズ『Fragile creatures』は、1980年代のポップアートやポストモダニズム、特にジェフ・クーンズの作品に影響を受けています。祝祭の場を彩る装飾品であり、大量消費の象徴でもあるバルーンという工業製品を引用しながら、現実には存在しないかたちへと置き換えています。肌や毛、爪のように、遠目には同じに見えても、わずかに異なる個体差や不均質さ──そうした微細な違いを、筆跡やエアブラシによる粒子的な描写で表現しました。丸いフォルムがもたらす可愛らしさの印象により、内包された生と死のテーマや、生き物たちの置かれた状況は見過ごされがちで、多くの場合、彼らの「可愛さ」だけが切り取られているように思います。私はこのシリーズを通して、避けがたく加担してしまう大量生産・大量消費の現実に揺れながら、私たちが繰り返している「いのちの消費」という行為を、平面上のビジュアルと、その背後にある構造を重ね合わせるかたちで提示しようとしています。
1993年兵庫県生まれ。2019年多摩美術大学美術学部統合デザイン学科卒業。
2024年「Little things」(銀座 蔦屋書店 / 東京)、2025年「こわれもの」(MITSUKOSHI CONTEMPORARY GALLERY / 東京)など個展多数。2023年「Nine colors XV?」(西武渋谷店 / 東京)、「LA ART SHOW」(アメリカ)などグループ展やアートフェアに多数参加。2023年WATOWA ART AWARD 2023準グランプリ受賞。2023年Cat’s ISSUE、2024年保護猫喫茶 necoma、2025年MOUSSYなどコラボレーション多数。

